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2018年7月のバックナンバー

豪雨に立ち尽くす

2018年7月13日

人工知能だあるいは核兵器だと科学文明の進歩にどんなに胸を張っても、我々はいまだに降水量を調節する術を手にいれていない。

降らなくて雨乞いをし、降りすぎて洪水の犠牲の大きさに立ち尽くすことしかできない。

ただ近年は治水対策はかなり進み、地域が水没するような事例は以前よりは減少したようにも思っていた。

しかし今回のような過去に記録したこともないような豪雨の前には人間のできる力の限界を嘆かざるを得ない。

家や店舗を失った人たちの生活復旧はこれからいばらの道を歩まねばならない。

部品や商品の流通が断たれた工場やスーパーの再開も急がなければならないが、もっと深刻なのは西日本に広域に広がった水没した田畑の影響だろう。

農産物の被害がいかに大きく深刻なものか、今後の調査で明らかになるはずだ。

西日本は梅雨が明けたが、北海道では依然雨が続いている。

リスクを想定する経営の必要さを前回説いたが、なお一層そのことを感じた数日間であった。


 

再び、リスクを計算した経営

2018年7月 9日

列島がワールドカップサッカーの興奮に包まれていた頃 、 例年通り北海道をクルマで走っていました。

9日間北海道にいて太陽の顔を見たのは数時間だけ、あとはただただ雨雨雨でした。
寒さも厳しく10度前後、東京との気温差、実に30度近いという日もありました。

北海道では6月頭からこんな状況は続いているそうで6月一ヶ月で晴れた日は数えるほどだと言います。
北海道は日本の食糧庫とも言うべき土地だけに日照不足や冷害が心配されます。

小樽から稚内まで日本海側を旅すると、かつてニシン漁で栄えた番小屋や網元の御殿がたくさん残され往時が偲ばれます。

江戸時代から昭和まで海を埋め尽くすように押し寄せていたニシンは昭和30年代パタリと来なくなり、ニシンで栄えた町村は一気に衰退しました。
隆盛時はまさかニシンが来なくなる日が来るとは誰も見通せなかったのです。

理由はよくわかってはいないようです。
まさに自然の神様のいたずらなのかもしれません。
しかし同じようなことが繰り返されています。
昨年のイカ、サンマ、そして今年のウナギ・・・・。
海の異変ばかりではありません。

極端な風水害に大雪の害、地震に火山噴火と私たちの暮らしを取り巻く自然の脅威を年に何回も目にしています。
これは想定外ではありません。
想定しなければいけないリスクなのです。

リスクにはいろいろあります。
北朝鮮のミサイルリスクだって一見回避されたように見えて、私は本当か疑わしいと思います。
だいたい世界の首脳がこぞって会いたがり、握手したがるような、国民目線の指導者かどうか考えてみるべきです。
国内クーデターの可能性だって十分考えられるし、これはまた世界のリスクです。
対するトランプ大統領の気まぐれな決断のリスクも世界を混乱に陥れています。

自然由来のリスク、地政学リスクと種類は異なるものの、我々の生活を脅かすことに何ら変わりはありません。

私たちは自分で暮らしを守るしかありません。

如何にリスクをヘッジするか。

今真剣に考える時だと思います。

 

 

日本経済の標本空間から見えてくるもの

2018年7月 2日

私が東京の郊外およそ40キロ圏を環状する国道16号を意識するようになったのは、経済番組の記者時代の1993年、いまから四半世紀前のことだった。
当時繁盛店として知られた伊勢丹相模原店の秘密を取材していたら、この店の出店調査をした人から「相模原というよりも商業の専門家が注目しているのは、相模原市を通っている国道16号なんです」とアドバイスされた。
調べてみると確かに百貨店、スーパー、外食チェーンからホームセンター、ゴルフ用具に釣具屋チェーンに至るまで16号を意識して店を展開していた。
横浜、町田、八王子、川越、大宮、春日部、柏、千葉など山手線のターミナル駅から電車で40分前後にある拠点駅の都市を結ぶ国道16号は、戦後団塊の世代がマイホームを求めて移り住んできたベルト地帯だ。それだけに団塊ファミリーの人口に占める割合が全国的にも高く、例えば千葉県柏市などは全人口の5分の1近くを団塊の世代とその子供である団塊ジュニア層が占めている。
四半世紀前はそれがこの地域の成長の原動力だったが、いまでは全国で最も高齢化のスピードが速い地域になったことを示している。
あの伊勢丹相模原店も店舗の一部を売却するなど苦戦しているのも時代の変遷が背景にあるようだ。
当時私は取材の成果を「日本が読める国道16号」という本にまとめ、「国道16号沿線は日本の消費を読む標本空間であり、先行指標である」と記した。
いま改めて16号を取材して、高齢社会というテーマでもやはり「標本空間であり先行指標である」と思う。
多摩ニュータウンをはじめとする団地では、高齢者比率が高まり空き室が目立つうえ、周辺商業が撤退し始めている。沿線での開発の中心はいまや老人施設だ。沿線一都三県でこの10年で後期高齢者はおよそ150万人増加する。後期高齢者のおよそ1割が施設入所を希望するとされるが、その急増に対応する施設の供給は追いつきそうもない。
埼玉県春日部市にあるショッピングセンターを取材した。
週末は若い家族連れも多いが平日の中心顧客は高齢者だ。
「年金支給日はATMに長蛇の行列ができます。貯金はあっても将来不安で日々の生活のためには取り崩さず、年金で賄おうとするからせいぜい年収200万円の暮らし。景気とは関係なく消費は伸びません」
支配人はこうため息をついた。
これは春日部に限った話ではないだろう。
「節約時々贅沢」、一言で言えばこれが消費スタイルである。
1800兆円の個人金融資産の大半を持ちながら高齢者はなかなか財布のひもを緩めない。基本の生活は年金で賄う。したがってせいぜい年収200万円の暮らしぶりしか表には出てこない。
アベノミクスやマイナス金利と言った政策とは関係なく確実にこの消費スタイルの人たちが増えてゆく。
景気が良くても消費が伸び悩んでいる実情が国道16号沿線の消費から浮かび上がってくる。
いま最大の関心事は、来年の消費税引き上げがどう影響を与えるかだ。
シニア世帯では消費量が少ないため調味料などひと瓶使い切るのに時間がかかる。
賞味期限内に使いきれないということもしばしばだ。したがって消費税引き上げによる買い控えを阻止するためメーカーが取り組むと思われることは内容量を減らして増税分を上乗せしないで済まそうという試みだろう。
値上げで買い控えられるよりは、内容量を減らすことで増税分を吸収するわけだ。
もともと使い切ることが難しかったのだから抵抗なく受け入れてくれると思われる。これをシュリンクフレーションという。
「標本空間」の観察からこんな近未来が見えてくる。


 

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