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ヒット商品不在

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年末恒例のヒット商品番付が発表されている。

しかし売れたという意味でのヒット商品は最近は数えるほど、とても番付を作るほど並ばない。

今年の場合も大谷翔平や大坂なおみやAIなどが並んでも、ピンとこないという人も多いのではないか。

近年人気を集め同様の店舗展開が増えているのが「ゆったり系喫茶店」である。

セルフサービスを基本としたファストフード的コーヒーショップとは一線を画し、フルサービスで新聞や週刊誌もたくさん閲覧できるような店が全国的に増えている。

価格はやや高めだが、リピーターが多く毎朝のようにやってくる年配者も多いようだ。ゆっくりくつろぐから顧客の回転効率は良いとは言えないが、それでも店のファンを作ることが商売繁盛の秘訣なのだろう。

珈琲を飲むだけならコンビニでは100円で飲める。最近は駐車場も広く、テイクアウトした珈琲を飲みながら駐車場に停めたクルマでくつろぐ人も少なくない。
価格の安さとは違うくつろぎの時間を提案してこそ「ゆったり系」の魅力もアピールできる。

同様に根強い人気があるのがスーパー銭湯と呼ばれる温浴施設である。

温泉掘削技術の進歩により以前より手軽に温泉を掘り当てることができるようになったこと、またお湯が出なくても源泉からタンクローリーで運んでくる業者も現れて、温浴施設をあちこちで見かけるようになった。昔の公衆浴場は内風呂を持たない人が主要顧客だったが、いまは家に風呂がないから温浴施設に行こうという人はまずいないだろう。くつろぎの場として温浴施設を利用するのだ。

茨城県那珂市にある「なか健康センター」では各種温泉のほか、月替わりで演目を変える芝居を上演している。

「東日本大震災で建物が半壊したのをきっかけに、芝居小屋を作りました。敬老会などの団体入館者が増えました。館内滞在時間も5時間以上、中には毎日入場される方もいます」と宮野由美子社長は話す。

滞在時間が長くなれば飲食費なども増え客単価は向上する。入浴それ自体よりも「ひまつぶし産業」としての将来性がそこにある。

とくに地方都市では車で温浴施設に乗り付け、お風呂の後に宴会場で忘年会や新年会を開催し、朝まで仮眠室で休んで翌朝仕事という人も多いという。
これなら酒酔い運転の心配もないし時間を気にせず飲めるわけだ。

宮野社長は、さらに昨年秋系列の福島県にある「いわき健康センター」にスポーツジムも開設した。

「昼間はシニア層、そして夜は勤め帰りのサラリーマンの会員が増えています。健康のためにスポーツジムで汗を流し、その後に温泉を楽しむというライフスタイルの提案で市場を拡大したい」と意気込む。

もう一つ時間を提供する「意外なビジネス」を紹介する。

近年コインパーキングなどを利用して、登録者に短時間クルマを貸し出す「カーシェアリング」というビジネスが伸びてきた。

クルマを所有することから借りて利用するという時代の変化に対応したものと考えられている。それでは短時間クルマを借りてどこへ行くのか。

実は利用者アンケートに回答した2割近くの人が借りたクルマの中で過ごしているという意外な結果が出た。

クルマを移動の手段として借りたのではなく、個室として借りて、重要な電話をする場所として利用したり、書類作成や仮眠の場所として利用しているという。

モノではなく時間を売る発想が求められている。