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30年ひと昔

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いまから30年前、1989年平成元年は、今日を考えるうえで重要な年であった。
世間は前年から天皇の病気で自粛ムード、消費は落ち込んでいた。
百貨店の婦人服売り場では黒い服しか並んでいなかったと当時の担当者が証言する。
崩御の日から3日間、国民は歌舞音曲を自粛することを求められ結婚式なども中止になった。
テレビコマーシャルも1週間自粛された。今回の改元は天皇家の不幸を前提にしない慶事であることは、経済にとって重要な側面であることを強調したい。

2月にリクルート事件で未公開株が賄賂として使われていたことが発覚、竹下登内閣は4月消費税導入と引き換えの格好で首を差し出した。
カネのかかる政治への反省から小選挙区制導入の論議が高まってゆく。これが今日の政治の源流となった。
竹下内閣に代わり登場した宇野宗佑内閣は醜聞にまみれ、「ダメなものはダメ、山が動いた」と消費税廃止を訴える土井たか子委員長率いる社会党に7月参議院選挙で惨敗する。総理大臣指名選挙で初めて衆参が別の議決を行いその後の連立時代の幕開けとなった。
つまり30年前は「改元、消費税、参院選」とテーマも今年と同じだった。
さらにこの年は天安門事件があり、中国政府は政治の不満を経済にそらそうと「改革開放」を打ちだす。
ここから日本企業を含めた外資系企業の中国進出が始まり、そこで働く中国人の所得が向上、産業も勃興して豊かな国つくりは成功する。

今日の旅行ブームで日本への観光客も増えた。
ベルリンの壁が崩壊したのもこの年。ドイツに限らず東側諸国で相次いで革命がおこり民主化の波が襲う。
西側へ多くの難民が流出しヨーロッパ全体が大混乱に陥った。その後新しい枠組みEUが生まれたが、それがイギリス離脱や難民問題などで揺れるフランスやドイツの混乱といま再び混迷している。

そしてもう一つ忘れてならないのはこの年の年末日経平均株価は38915円の最高値を記録した。
いわゆるバブルのピークだったのだ。
平成2年の正月、多くの経済人は一年後株価5万円を予想したが、株は暴落に転じ、秋には最安値21000円をつける。
21000円とは、30年後の今と同じ水準だ。株価に関して言えば30年間ほとんど変わらなかったわけだ。

こう考えてくると30年前と今年は、まさに合わせ鏡だ。
なかでも現在の東京や大阪、福岡といった地域ではバブル時代を思い起こさせる経済現象が目につく。
この三地域に共通するのは外国人観光客の恩恵を受けて商業施設やホテル建設ラッシュが続いており、タワーマンション建設も加わり旺盛な土地取引が行われていることだ。
特にタワーマンション上層部は実際に居住する目的より投資目的の外国人による取引という仮需要が発生している。
都心部の小さな住宅や商店でも再開発の名のもと高額な取引が行われ、たちまち資産数億という小金持ちが発生する。
30年前ほど株取引や法人接待は盛んではないし、土地取引も全国的というわけではないが、地域的に土地バブルが発生していることは地面師事件はじめ高額詐欺事件が毎日のニュースを賑わせていることからも嗅ぎ取れる。

オリンピックに万博も加わり都心部での再開発ラッシュは結果として多くの土地長者を産む。
問題は宴の後だ。30年前のバブル崩壊以上に今回は「山高ければ谷深し」ではないかと思う。
30年前と比べて日本の消費人口は減少と高齢化が顕著なのだ。
唯一当時より伸びている消費支出分野は医療・福祉だけといっていい。
消費税が引き上げられればその反動も覚悟せねばならないし、ホテルやマンションも今後は供給過多になる心配もある。

新しい時代の元年は、30年前の元年を合わせて考えると示唆に富んでいる。