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「東横バイバイ」

2019年9月 2日

東京渋谷で長年親しまれてきた東急百貨店東横店が来年春に閉店すると正式に発表された。
この建物の3階に東京メトロ銀座線の駅があり、2階にはJR山手線の駅に加え、かつては東急東横線の駅もあり文字通り渋谷の中心であった。
 
今後百貨店の現店舗ビルは解体され、その敷地に本年秋に竣工する予定の「渋谷スクランブルスクエア東棟」につながる「同中央棟」と「西棟」が建設される予定だ。
渋谷では現在大規模再開発が行われており、その一環として老朽化した同百貨店も閉鎖、取り壊しの運命から逃れることはできなかった。
 
私は近隣の世田谷区で生まれ、子供のころの買い物は親に連れられもっぱらこの東横店の世話になった。
お子様ランチを食べ、屋上の遊具で遊び、おもちゃを買ってもらい、渋谷から離れるバスの窓から「東横バイバイ」と叫ぶのが幼いころの私の「幸せな休日」だった。

本当の「東横バイバイ」の日がいま間近に迫っている。
オリンピックを目前に控え、東京は今土地バブルの真っただ中にある。
あちこちで再開発という名の地上げが進行し、区画一体開発が進む。いつのまにか広大な土地が出現し、容積率の緩和もあってそこに高層ビルが建てられてゆく。
 
この建設ブームのキーワードは「外国人」だ。
外国人を狙うホテル、外国人投資家が狙うタワーマンション、そして外資系企業が入居するオフィスという需要が背景にある。

平成初頭のバブルの時代は株価高騰もあり、その恩恵は全国に広がっていたが、今回は株が動かずもっぱら土地の売買に限定されているため、狂騒曲は東京や大阪など大都市とニセコや沖縄などリゾート関連地域に限定されている。
 
渋谷の再開発もその流れの中で理解できる。もともとホテルが少なかったこの地域は外国人旅行者の激増でホテル建設が加速している。
またこれまで新宿や大手町と比べてオフィスビルも少なかったので、新たな高層物件のほとんどがオフィス目的だ。
 
渋谷に本社を置きたいと考える企業はこれまでの日本をけん引してきた重厚長大産業や金融業ではなく外資系、IT系企業が中心である。

ハチ公前のスクランブル交差点はいまや世界でもっとも有名な交差点と言われるまでに世界的観光名所になっている。
しかし実は地元商業界からはあまり歓迎されていなかった。国の内外から集まるのは若者ばかりで購買力がほとんどない。
ファストフード店は賑わっても高額品を買う人たちではなかったからだ。
ハローウィンや新年カウントダウンに人が集まっても地元の商業が潤うわけではない。
 
その渋谷が今後大きく変わると私は予想する。
 
高学歴高収入の外資系、IT系の職場が渋谷に増えれば、購買力のある消費者が増えるはずだ。
 
ファッションやグルメの最先端の街としてシブヤが大きく変貌する予感がする。
 
渋谷駅周辺の再開発は2030年くらいに一応のめどが立つと言われている。
 
その時渋谷は世界に冠たるトレンディスポットになっているかもしれない。
 
そう考えると東急百貨店東横店が時代の役割を終えて消えるのも仕方がないのかもしれない。
 
1日も電車を止めることもなく、町の機能を停止させることもなく都市の改造が進む。
 
渋谷だけでなく、山手線新駅を中心に巨大オフィスタウンが出現する東京高輪ゲートシティ、大阪の北梅田地区、名古屋のリニア新駅周辺、福岡天神再開発もしかりだ。
 
目の前に大きなビルが建つとそこにばかり気を取られるが、巨視的に国全体をとらえて大きな流れをつかんでおく必要がある。
 
少子高齢化という現実と、ビジネスや観光で進む国際化のなかで古いものが消え新しい器が用意されてゆく。