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2020年を読む 「かきくけこ問題」と「5G」

2019年12月23日

国際情勢混沌のなかでいよいよ東京五輪の年を迎える。
間違いなく内外情勢が大きく動く年になる。
2020年、日本は「か」「き」「く」「け」「こ」の問題に直面する。
「か」とは「解散」、「き」とは「近隣」、「く」とは「9条」、「け」とは「景気」、
そして「こ」とは「後期高齢者急増」である。
 
「か」は「解散」。
2019年ダブル選挙を見送った安倍総理は、過密日程の中で衆議院の解散を考える。
オリンピック後景気の減速が本格化する前に選挙を打ち、自民党総裁4選に弾みをつけたいからだ。
2020年は年明け早々、あるいは予算成立直後に解散のタイミングがあるとみる。
それを逃すとオリンピック・パラリンピックの後の秋以降になってしまう。
改憲勢力3分の2を維持するためにも早期解散が考えられる。
 
「き」は「近隣」。
近隣問題も依然として大きな課題だ。
韓国との対立を収束させるには相当な時間がかかりそうだ。
元徴用工賠償問題は韓国現政権のもとでは解決しない可能性が強い。
韓国の国内政治状況を見ながらの我慢の外交が続く。
北朝鮮が核放棄をするとは思えないから、米朝交渉は決裂の可能性が大きい。
さらに米中摩擦と香港情勢からも目が離せない。
米大統領選挙の年だけにトランプ大統領が強硬策に走りすぎると緊迫した局面も予想される。
そのとき日本は大きな影響を受ける。
 
「く」は九条。
憲政史上最長政権となった安倍総理の目標は憲法改正しかない。
参議院は3分の2に少し足りないが、野党に手を突っ込めば何とかなると考えているはずだ。
国会発議、そして国民投票と進みたいが、問題は日本初の国民投票で過半数が憲法9条改正にイエスというか?
多くの有権者が棄権に回り、投票所に行くのは憲法改正に反対の人たち・・・。
イギリスのEU離脱のようなことにならないか。
万が一否決された段階で安倍政権は信認を失うことになる。
 
「け」とは景気である。
前回消費税による景気の落ち込みが元に戻るのに3年かかっている。
消費税が導入されて30年、当時40代だった戦後のベビーブーム世代がこれから続々後期高齢者になってゆく。
増税でも年金は上がらないし、そもそももはや購買意欲がない。
高齢社会でこの動きは見逃せない。
また戦後夏季五輪大会開催国は前回の東京大会も含めすべて翌年の景気が落ち込んでいる。
オリンピック需要が落ち込むことと何よりホッとした虚脱感が大きい。
増税反動とオリンピック反動で2020年後半は、「宴の後不況」が深刻になっていることが予想される。
その時政府はどう動くか?
思い切った景気対策が来年度補正予算では議論されるに違いない。
アベノミクスのメッキが剥げると、内閣支持率も不安定になる。
総選挙はなるべくその前にやっておきたいという思惑も絡まり、来年は国内政治経済は不安定要因が多そうだ。
 
「こ」は後期高齢者急増である。
2025年までの5年余りで戦後のベビーブーム層は全員後期高齢者入りする。
平均寿命まで10年程度、一気に老いが駆け寄ってくる。まだ生きてはいるけれど消費経済からはリタイアすることになる。
消費の縮小という意味で、これまでのような消費景気はもう期待できない構造になる。
いかに外国人の観光客で国内消費を補うかがポイントだが、食品スーパーでの外国人観光客の購買金額はたかが知れているし、住宅や車を買うわけでもない。住宅が余り、若者が車離れという中でどう内需を作るか、難しい問題だ。
 

一方で時代は「5G」の時代を迎えている。
5Gとは第五世代移動通信システムで大容量、高速の新しいシステムのスタートに当たり国家間の覇権争いも激しさを増しているが、ここでは「我々が取り組む5つの『じ』」を「ふぁいぶ、じ」と呼びたい。
それは「人工知能」「自動運転」「爺(じじい)」「時間活用」「地場産業」である。
 
「人工知能」は特別なものではなくなり、身の回りの多くの商品の中に搭載されるようになってきた。
 機械が学習することにより性能が磨かれてゆくということはあらゆるものがロボット化することでもある。
お年寄りの見守りをロボットが担い「気遣い・気配り」をしてくれれば人手不足を補うことにつながる。
最適物流や自動発注などやがて人知を上回るシステム化も夢ではない。
 
「自動運転」も実用化に近づいた。オリンピックを機会に公道実験が予定され、道路交通法も自動運転を前提に一部改正が行われる。衝突事故などの危険緩和が進む一方で、誤作動などによる事故も否定できない。
まだ完成とはいいがたいが、今年実用化に向けて大きく前進するはずだ。
 
「じじい」は大きな資源である。
定年退職後の特に男性シニアを観察してほしい。まだ元気なのにすることがない。
なまじ企業経験などがあるからクレイマーになったりする人もいるとか。
65歳以上の人たちに生きがいの職場を提供することで人材活用と技術の伝承を目指せば国の大きな財産になる。
定年廃止も一つの方法だが、65歳以上限定で雇用する企業の育成など社会全体として取り組むテーマではないか。
社長が定年者に「定年おめでとう」というと複雑な表情になる人が多いという社会をどう変えてゆくかが問われている。
 
「時間という資源の活用」
これまでの定年までの終身雇用という前提が崩れ、副業を奨励する企業が現れるなどサラリーマンをめぐる環境は大きく変化している。
年間休日日数も増加している時代、現役サラリーマンであっても時間活用によりスキルアップやベンチャービジネスへの挑戦など複線型人生の道が開けてくる。
企業が一人一人の時間を囲い込む時代ではなくなったということだ。
制服型から私服型への構造変化と言ってもいいだろう。
中には制服のほうがよかったという人もいるかもしれない。
しかしこれからは労働力の減少を補うためにも多芸に秀でた人材養成が国の基本戦略になる。
 
最後は「地場産業」だ。
これまで高度成長時代には廃れてゆくとみられていた地場産業だが、日本の伝統と文化が世界に注目される時代、逆に一周遅れのランナーが、気が付いたら先頭を走っていたという時代が来るかもしれない。
伝統的食材、和服、和紙、和風建築、陶磁器などがモダンなデザインと融合して日本のオリジナル商品として世界の市場に打って出る可能性がある。
銀座や心斎橋だけでなく、くまなく地方を訪ねる外国人が増えた今日、地方からまず東京という図式ではなく、地方から一気に世界へという道が開けるきっかけができてきた。ネット販売がさらに強力な援護となるだろう。
 
「5G」は、新しい日本の未来を担うヒントを提供している。