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人生100年時代

2020年1月 6日

まず問題です。
第一問   前回東京五輪のあった1964年の敬老の日に発表になった100歳人口は何人だったでしょうか?
第二問   令和元年に発表された厚労省統計による100歳人口は何人だったでしょうか?
答です。第一問の1964年当時は153人。
そして第二問の答は71243人です。わずか50年余りでこの違い!
そして30年後の2050年には戦後のベビーブーム世代が生きていれば100歳になるため100万人の大台に乗る可能性があります。
人生100年時代と言われるようになりました。かつて王様や大金持ちは長寿のためにはどんなに財産をつぎ込んでも惜しくはないと思ったと言います。
それを思えば今の時代は普通の人が100年生きることが不思議ではないわけですから、なんと幸せな時代なのでしょう!
「高齢者問題」などと言いますが、本来は少しも「問題」ではなく「慶事」のはずなのです。
ところが現実には生活苦や介護を苦にして自殺する人さえいる。高齢問題にどう立ち向かう、と官民挙げて叫んでいるのです。
一番問題なのは100歳が珍しかった時代の仕組みを100歳100万人時代に通用すると思うことです。例えば「お年寄りがまだ若かった時代(変な言い方ですが・・・)」に「ご隠居さん」という言い方がありましたが、いまそんな言葉使いませんよね。定年で会社を辞めて、あとは楽隠居なんて発想ではとても国が持ちません。健康な人は年齢など関係なく働ける社会をつくるしかありません。
団塊の世代の人は55歳定年時代でしたから、年金を収めたのはせいぜい30数年、それなのに100歳まで50年くらい年金をもらえば年金財政が破綻することは子供でも分かる話。それでも年金制度は大丈夫と政府は言い続けないと若い人が年金を払ってくれなくなります。「王様は裸です」と言ってはいけないのです。
多くの人は定年万歳ではなく、定年の日に寂しい顔をするようです。もっと働きたい、社会と関わっていたいという人が多いのに、あらかじめ決めた年齢で引退させてきたのです。人手不足と言いながらなんともったいないことでしょう。
一定の年齢以上はプロ野球の選手のように毎年契約更改をして、たとえ70歳を過ぎても能力があれば2000万円でも3000万円でも年収をもらえるようにする。その代りその人は公的年金制度から一時金だけもらって退会してもらう。こんな仕組みを作り高齢者全員に公的年金を支給するしくみをあらためるべきではないでしょうか。
「お年寄りはかわいそう」という発想もやめる必要があります。
ある年齢に達すれば、一律交通機関や映画館、美術館などの入場料を安くする考え方も見直すべきです。
この国の個人資産およそ1800兆円の8割は50代以上が持っているのです。
年寄りだから一律負担を軽くするという発想をやめない限り、お年寄りのほうが多い時代では動きが取れなくなります。
社会の仕組みを変える必要はほかにもあります。
例えば「お客様ご案内中」というアナウンスのもとに、車いすの方の電車の乗り降りを係員が介助しています。
電車一編成に一人くらいの対象者なら今の方法でいいかもしれませんが、
100歳100万人時代は、一本の電車に乗る車いすの人が何十人もいると予想されます。新宿のような乗降客の多い駅で山手線に同時に30人の車椅子利用者が押し寄せたらどうなるでしょう。間違いなく定時運行は難しくなります。そもそも満員電車に車いすの人が何人も乗るというのも難しいでしょう。女性専用車両と同じく車いす専用車両も必要になるかもしれません。優先席で収容できるようなお年寄りの数ではなくなり、座席すべてが優先席という発想も求められるでしょう。
「シニアのための」ではなく「すべてがシニア向け」へと考えを改めなければなりません。
お年寄りを特別扱いする発想からの脱却。
これが最も大切なことではないでしょうか。