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寅さんが歩いた日本の原風景

2020年1月20日

「男はつらいよ50 お帰り寅さん」を見てきた。
これまでの49作品をDVDですべて見た後に今回の50作目を劇場で見ることになったので感慨もひとしおだった。
劇場はほぼ満席、その大部分は中高年だった。
寅さんは全国を放浪するテキ屋稼業、その仕事場は神社などの縁日だ。
正月公開の映画が多かったから初詣シーンがよく登場した。
地方の神社でも当時は実に賑やかで、しかも多くの参拝客は和服姿が映し出されていた。
寅さんは飛行機も新幹線もほとんど使わない。
そもそもあの格好では似合わないだろう。
ケータイもスマホとも無縁で赤電話の前に10円玉を積んで慌てて近況を伝える。
宿泊も「ビジネスホテルなんて味も素っ気もなくて嫌いだぜ。温泉に入りおかみが熱燗つけてくれる。それで朝飯もついて500円くらいで泊まれるところがいい」。
 
そんな寅さんが旅をしたところは島根県津和野、兵庫県三木、備中高梁、京都伊根の舟屋、佐賀県小城、福岡県秋月など地方のひなびた町だ。
古民家が似合い職人の手仕事が今も残るような土地を寅さんは旅した。

時代は高度成長時代。新幹線がどんどん伸びて、飛行機の旅も気楽にできるようになりつつあった時代にあえて山田洋次監督は古き良き日本の風景を記録してきた。
シリーズ開始から半世紀。ローカル線を走る蒸気機関車の風景などもはや取り戻すことはできない貴重な映像が「男はつらいよ」には残されている。
単なる昔を回顧するだけでない。
近代的な超高層ビル立ち並ぶ都市開発なら北京でもシンガポールでもドバイでも日本以上のものが見られる時代に、多くの外国人が日本観光に期待するものはなにかを考えるうえでも「男はつらいよ」は大きなヒントを内包しているのではないだろうか。