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送料はだれが負担する

2020年2月21日

ネットを中心とした通信販売の送料負担が今後大きな問題となりそうだ。
ネット通販の楽天が3月から3980円以上購入すると送料を出店者負担で無料にするという方針を示したことで、一部出店者が独占禁止法の「優越的地位の乱用にあたる」として公正取引委員会に調査を求めるなど強く反発している。
「送料無料を打ち出しているアマゾンに対抗するためには、ここでみんなが力を合わせなければならない」と社長は反論している。
遠隔地に商品を送る場合に送料というコストは必ず発生する。
問題は誰がそれを負担するかだ。
商品を購入した顧客自身、商品を販売するメーカー、あるいは通信販売などの主催企業などが考えられる。
顧客が負担するのが一般的ではあるが、これだと店頭購入時より割高になるので、通販の魅力が薄れてしまいかねない。これをサービスすることで業者は顧客獲得競争に勝とうとする。
ネット通販大手がまず考えたのが、宅配会社に大量に仕事を発注することで、宅配費用を格安に設定してもらうことだった。宅配会社は配達費用を割り引いたうえに物流倉庫内でのピッキング作業なども請け負うなどして、独占的に仕事を請け負おうとネット通販会社に食い込みを図ってきた。
実際に宅配会社の物流センターに見学に行ってみると、流れている商品のかなりの割合が大手ネット通販会社の商品であり、これを受注するかしないかで業界シェアを左右することになりかねない。
ただ、大手ネット通販の受注は宅配会社にとって赤字覚悟の大盤振る舞いで利益率の減少を招く。その分をほかの顧客への値上げで補おうとすれば反発も必至だ。
またもう一つ問題がある。
大手ネット通販の配達の多くは実は時間指定便で、それも夕方から夜にかけての時間帯に集中しているという。昼間働いている比較的若い顧客が多いからだ。
宅配便ドライバーは朝早くから勤務しているから夜のほうが忙しいとなれば超過勤務が問題になる。働きすぎ改革のなかで宅配便ドライバーの勤務管理は大きな問題だ。
このように宅配業者のコスト増と人手不足がもはや限界に達しているというのが現在の問題だ。
そうなると、あとは出品するメーカーなどへの負担要請しかない。
今回の楽天の出品業者への送料無料要請もこうした流れの一環だといえる。
しかしどんな形であれ、本来コストのかかっている送料の費用をだれかに負担させるということには無理が生じると思う。
便利、便利と言っていたコンビニも、年中無休24時間営業や、フードロス問題、賞味期限の近づいた食品の値引き問題など、これまでの経営スタイルが曲がり角に来ている。
同様に便利な通販も送料問題を皮切りに今後問題が表面化してくる可能性を感じる。
便利さを求めてきたライフスタイルが問われている。