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★小売業冬の時代

2020年9月 7日

小売業に関係する人ならば「商業界」という名前を聞いたことがあると思われる。
戦後日本の小売業経営者の指針となる雑誌「商業界」等を発行してきた会社だ。
その「株式会社商業界」が今年春破産した。
この会社は単なる雑誌の発行にとどまらず、「商業界ゼミナール」と称する大会を全国、そして地方ブロックごとに開催し続けてきた。
私も雑誌に寄稿し、商業界ゼミナールで何度か講演したことがあるが、熱心な小売業者たちが耳を傾けていたものだった。
しかし日本の小売業界がスーパー、コンビニ、ドラッグストア、ファミリーレストラン、ファストフードチェーンなど大手による寡占化が進み、個人経営の小売業者が減りはじめ、全国に張り巡らされていた「商業界」のネットワークも綻んでいた。
周囲を見回せば、酒屋、八百屋、魚屋、肉屋、畳屋、蒲団屋、荒物屋、蕎麦屋、喫茶店などかつては地元の個人の主人が経営していた商売が軒並み消えている。
まさに「商業界地図」は塗り替わってしまったのだ。
そしてさらにいま大手小売りチェーンでさえネット通販の浸透の前に、リアル店舗を維持する難しさに直面している。
雑誌という紙媒体の衰退、三密を避けるなかで「商業界ゼミナール」のような密集講演も難しいとなれば「商業界」の破産は残念ながら時代の流れなのかもしれない。
そしてこれは一企業の消滅だけにとどまらない今後の小売業の未来も暗示していると言わざるを得ない。
コロナ後の風景が見えないのである。