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★ニュースなのか、ショーなのか?

2020年11月 2日

放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は9月、昨年放送されたテレビ朝日の報道番組「スーパーJチャンネル」内の特集で不適切な仕込み演出があったとして「放送倫理違反」があると認定した。
昨年3月に放送された15分の特集でスーパーを訪れる一般客に声をかけその人間模様に密着するという内容で、登場した5人は制作の委託をうけた関連会社「テレビ朝日映像」の派遣社員である40代の男性ディレクターが主宰する演技塾の生徒や知人だったという。
意見書によると、ディレクターは月に1本ほど特集を製作、約1年間で担当したほかの12本のうち5本で同様の仕込みをしていた。
上司から「必要な映像が足りない」などと叱責を受け、いかに効率的に撮り叱責を回避するかにあくせくしていたという。
問題はこのディレクターの個人の行為に矮小化してしまうことだ。
最近のテレビを見てほしい。
朝から晩までナマのワイドショーとニュースショーばかりだ。
しかも司会者やコメンテーターの多くは芸能人やお笑いタレントだ。
ニュースを伝えたかと思えば、グルメ紹介だったり観光案内に変わったりと一つの番組のなかで事実報道とエンターテイメントが混在している。
しかも毎日長時間の生放送のため、そうそう毎日大きなニュースがあるわけもないから「特集」などと称する枠を外部のプロダクションに丸投げしている例が多い。
今回問題になった「特集」も本来報道番組である「スーパーJチャンネル」の中の「ヒマネタ特集」であったようだ。
グルメ紹介の店の選定基準が怪しいように、またただで食べさせてもらうからタレントはどんな時でも「おいしい」と言うように、こうした「ヒマネタ」が遊びの一環の安易な取り組み姿勢があることはテレビ局に勤めた人間なら想像がつく。
そもそも外部のプロダクションは商品としての「特集」をローコストで制作し「納品」することで競合他社に勝てばよいのであって、マスコミ人としての倫理教育やジャーナリズムの基本、ニュース番組のあるべき姿などについて教育など受けていない。
そんなプロダクションに任せる放送局側に問題があるのだ。
ではこうしたことは、営利目的の民放だけの問題かというと、近年はNHKの報道番組にさえ外部プロダクションの登用が目立つ。衛星チャンネルなどが増えて自前の職員だけでは対応できなくなり、NHKも今や外部依存が多くなっている。
ニュースなのかエンターテイメントなのかわからない番組だらけ。
どうしてニュースを面白おかしく伝えるために効果音をBGMに入れたり、ナレーターが奇抜な節回しで面白おかしく伝える必要があるのか。
こんなことではテレビ離れは当然のこと、放送局側の自殺行為であり、今回の話は氷山の一角である。