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2021年キーワード ★「5TOトラブル」からの脱出なるか

2020年12月14日

新型コロナウィルスの感染拡大で2020年の日本と世界の経済は大きな打撃を被った。
ここからどう立ち直るかが2021年最大のテーマであることは間違いない。
コロナ対策のワクチン開発は進むと思われるが、それを日本国民全員が摂取し一定の効果が確認できるまでにはまだ時間がかかる。また発展途上国を含めた世界の人々へのワクチン投与となると、これは10年単位の時間が必要だろう。五輪開催にIOCは前のめりだが、日本にとっては危険な賭けだと考える。また外国人観光客の訪日数が前の水準に戻るのも相当先の話だ。
こうした状況下で2021年の日本経済は大きな危機に直面する。
前年来の経済ダウンのツケを払う年になるからだ。
2021年のキーワードは「5つのトラブルからの脱出なるか」、
題して「5TOトラブル」からの脱出なるか、である。
 
まず株価がコロナ後も大きく下がらなかったのは、潤沢な市場への資金供給の賜物で、アベノミクスは安倍政権の最後に大きな成果を残したと考える。しかし2021年3月期末に向けて企業業績の悪さが次々に発表されると、実体経済を反映していない株価の割高感が気になりだす。決算前に売っておこうという投資家の判断が勝ち、いわゆる「節分天井彼岸底」で株価が水準訂正をする可能性が大きい。
また地価もすでに下がり始めている。
これまで東京など大都市で地価を上げていたキーワードは外国人だった。
外国人観光客向けホテル、外資系企業向けオフィス、外国人投資家向けタワーマンション、こうした需要が冷え込んだうえにテレワーク推進の動きで都心から地価が下がり始めている。
株価と地価の下落は担保価値の減少を意味し、金融機関の経営にも直結する。
特に地方の温泉町など観光の衰退で今後旅館やバス・タクシー会社などの破綻が予想される。
地域経済が崩壊すれば地元銀行の受ける影響は深刻だ。
バブル崩壊時の鬼怒川温泉の破綻が地元銀行の経営を圧迫した例を思い起こす。
株と土地の下落が金融不安を招かないか、バブル崩壊の再現を心配する。
次に景気である。
小売りサービス観光業の落ち込みは一過性のものではない。
自粛行動の定着で衣料品などの需要は大きく落ち込み、今後もライフスタイルの変化が消費の抑制をもたらす。テレワークとなれば通勤着も靴もカバンも化粧品も買わなくなるのだ。
製造業も世界中元気な経済圏が少なく輸出の回復は多くは望めない。国内も高齢化と収入源で消費需要が落ちているだけに今後売り上げ減少は続くだろう。
そうなると人手不足は一転、どこも過剰雇用に悩む。
リストラによる雇用不安は一気に顕在化する。新規雇用も抑制的で労働市場は閉塞感が漂う。
国も自治体もコロナ対策の支出は増える一方なのに、景気悪化で税収入は伸びず、財政の危機は一気に深刻化するだろう。長期の経済低迷を覚悟すると当面税収増は見込めない。
 株価、地価、景気、雇用、財政。5つの下降トレンドを食い止める妙案はない。
コロナに復興需要はないのだ。「5TOトラブル」から日本がどう脱出するか、
「日本版ニューディール」求められる。
 
私は、それは「香港に変わるアジア金融センター東京」を世界に宣言することだと思う。香港の政治状況を考えると金融取引の国際センターとしての役割は終わり、金融資本の流出が顕著となっている。東京はバブル崩壊後アジアの金融センターの地位を香港やシンガポールに受け渡してしまったが、今はその奪還の好機である。
そのためのインフラ投資も欠かせない。2020年秋に起きた証券取引所のシステム故障のようなことを二度と起こしてはならない。また海外からは原発事故以後の電力安定供給への不安の声も依然として聞こえてくる。停電があればコンピューター業務へのダメージは計り知れない。地震や津波に対する安全確保など金融センターとしての適格性を世界に向けてアピールする必要がある。
また5Gといったインフラ整備はもちろんのこと、ハンコの撤廃などソフト面の整備も必要だろう。
かつてイギリスがビッグバンによって大胆な規制緩和を実施し、シティを金融の中心地として再生を果たしたように、日本も金融大国として生き残る可能性を模索すべきだ。
コロナ後、資源もなく人口も減少に向かう老大国が生き残れる道は極めて限られている。
国難をチャンスに変えられるか、真価が問われる年である。