「西村晃のマーケティングの達人 大繁盛の法則」企業経営・売上アップのヒントを提供

今週のズバリ

バックナンバー

★経済小国ニッポンのデッサン

2021年3月 5日

昨年の今頃、「コロナ禍から日本経済の傷が癒えるまで全治5年」と予言した。
あれから1年だったから「あと4年」ということになる、
国民の希望者にワクチンが行き渡るまであと1年、

一般の人がマスクなしの生活が送れるようになるまでさらに2年、
外国人観光客の入国制限全面解除までさらに1年で、あと4年くらいかかりそうだ。
しかしそうなっても、もとの日本経済に戻るわけではない。
テレワークやオンライン会議で、オフィス需要、出張需要は減ったままで以前の水準には戻らない。
また今から4年後の2025年は日本の高齢化ピークで、団塊の世代の後期高齢者入りにより、消費人口は激減する。そう考えると、コロナによって日本経済の大幅なシフトダウンは避けられないとみるべきだ。


ただ経済成長をしないことを悪いことと決めつける必要もない気がする。
平成の時代あれほど増えていたショッピングセンターやコンビニの数はもう頭打ちだ。しかしそれで困っているという消費者の声は聞かない。大体ショッピングセンターのテナントの半分は衣料品・雑貨店が占める。しかし今洋服を買いたくて仕方がないという人は少数派だろう。大量に作って売れないからバーゲンで在庫品を一掃する繰り返しではないだろうか。それは資源の無駄遣いだし、廃棄するゴミにも困る。クルマだって家電だって同じこと、大量に作ってしまってそれを売りさばくのに追われる経済はもう無理なのだ。
企業は生産を落とし、リサイクルやグリーンエネルギーの開発に力を入れ、労働者の労働時間を減らす努力をする。労働者は休日が増え可処分時間の増加により、新たな消費が生まれる。また子育て環境が整い、結果的に出生率の上昇にもつながってゆく。そういう新たな好循環を作るきっかけにコロナ禍をとらえなおす工夫が必要なのではないだろうか。
日本は世界に先駆けてゼロ金利になった。これは投資がもう伸びないことを意味する。金利がゼロなら政府も国債の利払いがないから、財政赤字も少しずつ改善に向かう好機と考えればいい。
新たな公共事業はやめる。人口も減るのに高速道路や新幹線をさらに作り続けるのは無駄だ。老朽化した公共財のメンテナンスに絞って財政支出をするという姿勢に転換すべきだ。
経済大国ではなく経済小国として老大国ニッポンの未来を描くチャンスかもしれない。

★コロナ禍による天国と地獄

2021年2月26日

日本の株価が好調なことに疑問がないわけではない。
証券マンはテクニカルなことを解説し、3万円突破の正当性を説明する。
しかし、そう言われても疑問なのは日本には「GAFA」のような時代をけん引する産業が見当たらないということである。かつてのITバブルでもそうだったが、アメリカでは時代の花形産業が株価上昇をリードしてきた。コロナワクチン製造の医薬品メーカーの株価が上がるような国と、今の日本の産業構造には大きな差があると思わざるを得ない。
また業績絶好調というネット企業にしても、これまでの製造業や小売業と違い雇用吸収力に大きな差がある。ネット企業が全国に店舗展開する小売業を駆逐しても、小売業が雇っていた多くの労働力を吸収してくれるわけではない。
コロナは経済の二極化を促進すると言われる。
コロナにより業績絶好調になる一部のビジネスと、もろに影響を受ける多くのビジネスが存在する。
 
このことで最近特に意識していることがある。
私の二つの古巣であるNHKとテレビ東京の経済報道の色合いの違いだ。
まずテレビ東京の経済ニュース報道は大変活気がある。何しろ株が上がれば親会社の日経新聞の購読者が増えるという体質の会社である。株価3万円はさらにいくらまで上がるかという専門家の見方を次々に紹介しているし、業績絶好調の企業の取材にも余念がない。
テレビ東京が得意とするのは大手町の回覧板と言われる親会社と同じく日本を背負って立つ大企業とくに製造業の取材であり、ベンチャーと言ってもIT系の成長企業の紹介である。
だから日本経済全体の景気が悪くても、基本は「株価3万円寄りの報道姿勢」なのである。
それに対してNHKの報道は「人・個人」が基本ベースだ。
もともと企業名を出すことに抵抗を覚えるNHKだからたとえ大企業を取材するにあたってもそこに勤める「人・個人」から描くという手法を職員教育している。
今の経済は「人・個人」を中心に考えれば不安だらけだ。
個人経営の飲食店、ホテルマンや観光ガイドなどサービス業に従事する人は、明日の生活費にも不安を感じている。
リストラした企業の株価は上昇期待とテレビ東京は明るく報じても、リストラされた人の生活は不安とNHKは報じる。
どちらの報道姿勢が正しいかと言いたいのではない。
コロナによる二極化を企業の視点から見るか、個人の視点から見るかで大きく意味合いが異なるということだ。
私は後輩たちがつくる二つの放送局の経済ニュースを交互に見て、その本質を見極めようとしているが、コロナ1年を経てますますその乖離を感じる今日この頃である。

 

 

 

★「縁日そぞろ歩き風 仲見世冷やかし風」消費の終焉

2021年2月19日

先日東京都心の百貨店を覗いてみた。
手のアルコール消毒と検温機械が設置されているため入口は限られている。しかしそれでも行列などできないくらい客は少ない。特に平日の客の主役は中高年だが、その人たちほど外出を控えている。
店内は閑散、どの売り場も立ち止まっている客は少ない。
それでも比較的賑わっていたのがバレンタイン商戦のチョコレート特設会場だった。ただここも往年のように足の踏み場もないほどごったがえし、ブランドチョコ売り場前には行列、といった状況には程遠い。日本でこのイベントが定着してから最低の集客かもしれない。
義理チョコと呼ばれる職場などで配るチョコ需要は大きく減るに違いない。
売り手にとって数量的にこれはバカにならないだろう。テレワークや非接触、ソーシャルディスタンスという風潮は義理チョコ市場に決定的なダメージをもたらすかもしれない。今年だけに限らずこれを機にこの「風習」をやめようという機運が一気に高まるに違いない。
おもえば今日の経済は不要不急と衝動買いで成り立っていた。
あえて言えば「暇つぶしの経済」だった。
用もないのに繁華街をぶらつく、百貨店などに立ち寄ってみる。
人だかりにつられてついつい買ってしまう。
「縁日そぞろ歩き風、仲見世冷やかし風消費」だったのである。
友人からの情報で、噂の店に行ってみるといった消費行動がなくなれば、経済は回らなくなる。高度資本主義の時代の典型的な消費行動がコロナ禍で抑制されたということだ。
いまは「巣ごもり特需」で潤っている企業もある。しかしそれも一巡すれば次第に終息するはずだ。そうそう家庭でパソコンや仕事用の椅子を買い続ける必要もないだろう。
後期高齢者の爆発的増大、勤労者所得の減少、ライフスタイルの変化、外国人消費の消滅・・・。
日本の消費市場を取り巻く環境はことのほか厳しい。
 

★「たら・れば」の希望的観測

2021年2月12日

「たら・れば」は現実社会では通用しない。
しかし現実には都合の良い解釈で「たら・れば」がまかり通る。
「・・・だったら」「もし・・・であれば」
100年に一度の国難なのに、なぜ30年前のバブル時代に戻ったかのような株価の上昇なのだろうか。
まずは中央銀行のこれまでの学習効果としての超金融緩和によるものであることは言うまでもない。これはいい悪いはさておき、現実の裏付けがある株価上昇要因である。
次に、予想以上に製造業の回復が早く、業績向上を追認する株高、と言うのも納得できる。
ただ、不思議なのはコロナにより業績が悪化している企業の株価まで上がりだしている。それについて、今が最悪期だが今後ワクチンの普及により経済環境が好転することを見越した上昇であると、専門家は説明する。
要は業績が良くても悪くても株価はみな上がっているのだから、理屈は後付けでも文句はないだろうということのように聞こえる。
しかし、2月から日本でもワクチン接種が始まったとしても、希望する国民皆に行き渡るのには相当長い時間を要することになりそうで、夏までに行き渡れば、という政府の目標はあくまでも「たら・れば」にすぎない希望的観測であることが明らかになってきた。
一つはワクチンの国際的奪い合いである。
さらに冷凍温度を維持しながらのデリバリーの難しさである。
実際の接種をどこでどのように行うかという点でも全国の自治体は困惑している。
これは戦争だ。
戦争で最も大切なのはロジスティックスである。そうしたマネジメントがワクチン接種では機能しそうもない。
ワクチン接種と、それによる効果が出るのが遅れれば、経済復興はまさに「たら・れば」で終わる。
期待値が大きかっただけに反動も覚悟する必要がある。
今の株式市場は、「超」が付くくらいの楽観論の上に成り立っている、と私は考える。砂上の楼閣はやがて崩れるものである。

★全治5年では済まない?

2021年2月 7日

政府観光局が発表した2020年の訪日外国人数(推計値)は、前年比87.1%減の411万5900人だった。
世界各国での出入国規制が響き、訪日客は1998年(410万6057人)以来22年ぶりの低水準。政府が掲げた20年の訪日客目標4000万人の1割程度にとどまった。 
昨年はコロナ感染拡大前の1月、2月はほぼ平年並みだったわけだから、以後10か月がほぼゼロに近かったわけである。
もし本年が通年で現在の状況が続けば、まるで鎖国の時代に逆戻りしたような状況となる。
 
私はコロナは全治5年と言い続けているが、外国人観光客がコロナ前の水準に戻るのはとても5年では無理で、10年単位で考える必要がある。
近年外国人観光客が増えていた最大の理由は世界的なLCCブームとクルーズブームのお陰だったからだが、LCCは経営基盤が弱くコロナ禍で破綻が相次いでいるし、クルーズ船の人気回復には相当な時間がかかると思われるからだ。
日本では全治5年の間に一段と高齢化が進み、団塊の世代が後期高齢者になる。
消費人口が大幅に減るのを補っていたのが外国人観光客だった。
その外国人に期待ができなくなれば、日本の消費のパイは相当な縮小を覚悟せざるを得ない。
経済の落ち込みは全治5年では済まないかもしれない。

★ブランド崩壊から都心地価下落へ

2021年2月 1日

フランスの化粧品メーカー「ロクシタン」の米国法人であるロクシタンU.S.が日本の民事再生法に当たる米連邦破産法第11条の適用をニュージャージー州の破産裁判所に申請した。新型コロナウイルスの影響で、実店舗の1割強を閉店する見込みだ。米ロクシタンは36州とプエルトリコに計166店舗を構え全世界の全売り上げの9.1%を占めている。すでに米ブルックス ブラザーズも米連邦破産法第11条の適用をデラウェア州の破産裁判所に申請している。ニーマン・マーカス(NEIMAN MARCUS)やJ.クルー(J.CREW)などと同様、新型コロナの影響による打撃を大きく受けたためだ。さらにベルギーの高級チョコレートブランド「ゴディバ」は、3月末までに北米128カ所の店舗をすべて閉鎖または売却すると発表した。
いずれも日本でも知られた店だ。
高価格帯のバッグや宝石などを販売するラグジュアリーブランドも実情は同じ。アメリカだけでなく世界中で売り上げを落としている。
日本でもブランド店が並ぶ銀座や心斎橋、天神、栄などの繁華街は外国人観光客の姿もなくひっそりとしている。欧米ブランド店は一年の売り上げの大半をクリスマス商戦で稼ぐと言われる。10月から12月にかけて世界中がコロナ第三波の影響受け業績悪化で見切りをつける動きが今顕在化している。
このほか冬ものコートなど高額衣料品が外出自粛で不調だったアパレル業界や百貨店などの決算が迫っている。
事業存続も危ぶまれる産業がどうなるか?
試練の2月が始まる。

★電気自動車の進む道

2021年1月25日

中国、欧州、そして日本もガソリン車販売を近い将来打ち切り、脱炭素社会に向けて電気自動車などを普及させていく方向で足並みがそろってきた。
日本の基幹産業として長年経済の牽引車であり、コロナ禍でも比較的好業績産業として位置づけられている自動車産業が今後も存在感を発揮できるか、残念ながら難しい状況だ。
もしガソリン車の天下が続くなら、日本とアメリカ、それにドイツの三強の時代が続いただろうが、新しい電気自動車という土俵になれば中国をはじめ多くの国々が横一線で世界制覇を目指すことになる。
ガソリン車の部品はおよそ3万点あり、それを供給するサプライチェーンがアッセンブルメーカーを頂点に、子請け、孫請け、ひ孫請けの部品メーカーによるピラミッドを構築しており、日本の製造業の三割近くが何らかの形でここに関わっていると言われている。鉄鋼や産業機械メーカーなどだけでなく、いまや繊維メーカーにとってもシートが、コンピューター、ガラスやペンキ、ゴムなどのメーカーにとっても自動車部品が大きな収益源なのだ。自動車の企業城下町の住宅や飲食店といった仕事まで含めれば日本の多くの人々が自動車で食べている。
ところが電気自動車の時代になると部品点数は一気に1万点ほどに縮小する。エンジン系統の部品はほぼなくなってしまう。
簡単に言えばクルマが家電の一部になるわけだ。家電になればかつて日本のお家芸が途上国に奪われたようなことがクルマでも起こる可能性が大きい。
産業構造のピラミッドの規模が三分の一に縮小すると日本経済の雇用もそれだけ減ることを意味する。
一口に同じ自動車産業といっても全く違う風景になってしまうことになる。
脱炭素社会に日本は生き残れるか?
いまだに答は見つかっていない。
アフターコロナの日本をけん引する産業をどう作るか?
事態は深刻である。
 
 

★あの日、神戸

2021年1月17日

第一報を取材に向かうカーラジオで聞いた。
夜の「ワールドビジネスサテライト」の生放送を終えた後、帰宅のハイヤーの運転手にそのまま神戸に向かうように頼んだ。
翌日大混雑で神戸まではたどり着けず、西宮の小学校の遺体安置所から生放送、二日目ようやく停電で真っ暗なままの神戸から放送を出した。
それから2週間、乗り付けたハイヤーをねぐらに、食糧を大阪に買い出しに行きながら取材と夜の放送を出し続けた。
1995年、1月17日。
阪神淡路大震災のことが昨日のことのように思い出される。
実はその三日前の14日神戸に取材に行ったばかりだった。
その時泊まったホテルは倒壊していた。だから他人事ではなかった。
地震から五日目、コンビニもファミレスもどこも開いていない神戸市内で、「おでん定食あります」の貼り紙がある喫茶店を見つけた。
老夫婦が経営する地元店は、日銭商売だから必死に具材を集め、卓上コンロでおでんを作っていた。
旨かった。
久しぶりに食べる温かいご飯に生き返った思いだった。
 
 ★暗闇の 被災神戸で  いただいた  真夜中のおでん  こころに染みた
 
昨年NHK短歌で入選したこの短歌はこの時のことを詠った。
 
あれから四半世紀以上が過ぎた。

 

★どう考えても無理だ

2021年1月12日


大相撲横綱白鵬がコロナ感染のため入院した。多数の休場力士で初場所は取組編成さえ難しい状況だ。相撲部屋という集団生活ではコロナ感染拡大を阻止することは難しそうで、相撲協会は今年も前途多難が予想される。
またバドミントンでオリンピック金メダルが期待されていた桃田賢斗選手が海外遠征に出かける直前空港でのPCR検査で陽性となり、選手団全員のタイ遠征がキャンセルとなった。
 
こう考えるとこの夏のオリンピック・パラリンピックの開催はやはり相当難しいと思わざるを得ない。
相撲と同様の密着競技であるレスリングや柔道、ボクシング、ラグビーなどの競技を開催できるのか?
ひとりでも陽性者が出た場合チーム全員が出場できないとなれば、競技が成り立つのか?
たとえ無観客で開催しても、選手村で共同生活をする選手たちの感染をゼロに抑えることなど可能だろうか?
日本国内では2月末からワクチン投与をはじめ、それが行き当たったうえで効果を検証し開催を決定するのはとても間に合うまい。
まして世界から選手を呼ぶのである。発展途上国などではワクチンはまだまだ先の話だ。各競技の世界各地の予選をどうするのか?
 
昨年延期を決定したのは3月の聖火国内リレー直前だった。
今年も同時期に決定するとすればもう2か月しか時間はないのである。
これはどう考えても無理な話だろう。
IOCのごり押しの前にオリンピック開催を国民の命を守ることと引き換えにしようというのでは、日本国政府の統治能力を疑われても仕方がない。
その結果開催中に感染拡大を招けばこれは世界のもの笑いだ。
この国が日本国民のためにあるのか、基本的立ち位置が問われている。

2021年キーワード ★「5TOトラブル」からの脱出なるか

2020年12月14日

新型コロナウィルスの感染拡大で2020年の日本と世界の経済は大きな打撃を被った。
ここからどう立ち直るかが2021年最大のテーマであることは間違いない。
コロナ対策のワクチン開発は進むと思われるが、それを日本国民全員が摂取し一定の効果が確認できるまでにはまだ時間がかかる。また発展途上国を含めた世界の人々へのワクチン投与となると、これは10年単位の時間が必要だろう。五輪開催にIOCは前のめりだが、日本にとっては危険な賭けだと考える。また外国人観光客の訪日数が前の水準に戻るのも相当先の話だ。
こうした状況下で2021年の日本経済は大きな危機に直面する。
前年来の経済ダウンのツケを払う年になるからだ。
2021年のキーワードは「5つのトラブルからの脱出なるか」、
題して「5TOトラブル」からの脱出なるか、である。
 
まず株価がコロナ後も大きく下がらなかったのは、潤沢な市場への資金供給の賜物で、アベノミクスは安倍政権の最後に大きな成果を残したと考える。しかし2021年3月期末に向けて企業業績の悪さが次々に発表されると、実体経済を反映していない株価の割高感が気になりだす。決算前に売っておこうという投資家の判断が勝ち、いわゆる「節分天井彼岸底」で株価が水準訂正をする可能性が大きい。
また地価もすでに下がり始めている。
これまで東京など大都市で地価を上げていたキーワードは外国人だった。
外国人観光客向けホテル、外資系企業向けオフィス、外国人投資家向けタワーマンション、こうした需要が冷え込んだうえにテレワーク推進の動きで都心から地価が下がり始めている。
株価と地価の下落は担保価値の減少を意味し、金融機関の経営にも直結する。
特に地方の温泉町など観光の衰退で今後旅館やバス・タクシー会社などの破綻が予想される。
地域経済が崩壊すれば地元銀行の受ける影響は深刻だ。
バブル崩壊時の鬼怒川温泉の破綻が地元銀行の経営を圧迫した例を思い起こす。
株と土地の下落が金融不安を招かないか、バブル崩壊の再現を心配する。
次に景気である。
小売りサービス観光業の落ち込みは一過性のものではない。
自粛行動の定着で衣料品などの需要は大きく落ち込み、今後もライフスタイルの変化が消費の抑制をもたらす。テレワークとなれば通勤着も靴もカバンも化粧品も買わなくなるのだ。
製造業も世界中元気な経済圏が少なく輸出の回復は多くは望めない。国内も高齢化と収入源で消費需要が落ちているだけに今後売り上げ減少は続くだろう。
そうなると人手不足は一転、どこも過剰雇用に悩む。
リストラによる雇用不安は一気に顕在化する。新規雇用も抑制的で労働市場は閉塞感が漂う。
国も自治体もコロナ対策の支出は増える一方なのに、景気悪化で税収入は伸びず、財政の危機は一気に深刻化するだろう。長期の経済低迷を覚悟すると当面税収増は見込めない。
 株価、地価、景気、雇用、財政。5つの下降トレンドを食い止める妙案はない。
コロナに復興需要はないのだ。「5TOトラブル」から日本がどう脱出するか、
「日本版ニューディール」求められる。
 
私は、それは「香港に変わるアジア金融センター東京」を世界に宣言することだと思う。香港の政治状況を考えると金融取引の国際センターとしての役割は終わり、金融資本の流出が顕著となっている。東京はバブル崩壊後アジアの金融センターの地位を香港やシンガポールに受け渡してしまったが、今はその奪還の好機である。
そのためのインフラ投資も欠かせない。2020年秋に起きた証券取引所のシステム故障のようなことを二度と起こしてはならない。また海外からは原発事故以後の電力安定供給への不安の声も依然として聞こえてくる。停電があればコンピューター業務へのダメージは計り知れない。地震や津波に対する安全確保など金融センターとしての適格性を世界に向けてアピールする必要がある。
また5Gといったインフラ整備はもちろんのこと、ハンコの撤廃などソフト面の整備も必要だろう。
かつてイギリスがビッグバンによって大胆な規制緩和を実施し、シティを金融の中心地として再生を果たしたように、日本も金融大国として生き残る可能性を模索すべきだ。
コロナ後、資源もなく人口も減少に向かう老大国が生き残れる道は極めて限られている。
国難をチャンスに変えられるか、真価が問われる年である。

 

1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11