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今週のズバリ

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機械のもろさ

2019年2月25日

JR新幹線の自動券売機が使えなくなるというトラブルがおきた。

利用客が自由席特急券を往復で購入しようとした場合にトラブルが発生したという。

乗車券を含まず、自由席特急券のみを往復で購入する利用客はもともと少ないが、JR各社で共通のシステムになっていることや不具合が起きた券売機は再起動するまで使えなくなったことから影響が広がったようだ。

春のダイヤ改正に合わせてプログラム変更の作業をしていたことと関係があるという見方が出ている。

銀行が合併などにより新システムに移行する時に過去にも大きなトラブルがあった。

人工知能の時代に入ろうとしているが、所詮機械であるだけにプログラム変更などの際に大きなトラブルが発生し、都市機能がマヒするようなことも考えられるし、サイバーテロという可能性も指摘される。

トラブル時の対応をどうするか、今回のような事例を軽視せず備えを進めてほしい。

 

30年ひと昔

2019年2月18日

いまから30年前、1989年平成元年は、今日を考えるうえで重要な年であった。
世間は前年から天皇の病気で自粛ムード、消費は落ち込んでいた。
百貨店の婦人服売り場では黒い服しか並んでいなかったと当時の担当者が証言する。
崩御の日から3日間、国民は歌舞音曲を自粛することを求められ結婚式なども中止になった。
テレビコマーシャルも1週間自粛された。今回の改元は天皇家の不幸を前提にしない慶事であることは、経済にとって重要な側面であることを強調したい。

2月にリクルート事件で未公開株が賄賂として使われていたことが発覚、竹下登内閣は4月消費税導入と引き換えの格好で首を差し出した。
カネのかかる政治への反省から小選挙区制導入の論議が高まってゆく。これが今日の政治の源流となった。
竹下内閣に代わり登場した宇野宗佑内閣は醜聞にまみれ、「ダメなものはダメ、山が動いた」と消費税廃止を訴える土井たか子委員長率いる社会党に7月参議院選挙で惨敗する。総理大臣指名選挙で初めて衆参が別の議決を行いその後の連立時代の幕開けとなった。
つまり30年前は「改元、消費税、参院選」とテーマも今年と同じだった。
さらにこの年は天安門事件があり、中国政府は政治の不満を経済にそらそうと「改革開放」を打ちだす。
ここから日本企業を含めた外資系企業の中国進出が始まり、そこで働く中国人の所得が向上、産業も勃興して豊かな国つくりは成功する。

今日の旅行ブームで日本への観光客も増えた。
ベルリンの壁が崩壊したのもこの年。ドイツに限らず東側諸国で相次いで革命がおこり民主化の波が襲う。
西側へ多くの難民が流出しヨーロッパ全体が大混乱に陥った。その後新しい枠組みEUが生まれたが、それがイギリス離脱や難民問題などで揺れるフランスやドイツの混乱といま再び混迷している。

そしてもう一つ忘れてならないのはこの年の年末日経平均株価は38915円の最高値を記録した。
いわゆるバブルのピークだったのだ。
平成2年の正月、多くの経済人は一年後株価5万円を予想したが、株は暴落に転じ、秋には最安値21000円をつける。
21000円とは、30年後の今と同じ水準だ。株価に関して言えば30年間ほとんど変わらなかったわけだ。

こう考えてくると30年前と今年は、まさに合わせ鏡だ。
なかでも現在の東京や大阪、福岡といった地域ではバブル時代を思い起こさせる経済現象が目につく。
この三地域に共通するのは外国人観光客の恩恵を受けて商業施設やホテル建設ラッシュが続いており、タワーマンション建設も加わり旺盛な土地取引が行われていることだ。
特にタワーマンション上層部は実際に居住する目的より投資目的の外国人による取引という仮需要が発生している。
都心部の小さな住宅や商店でも再開発の名のもと高額な取引が行われ、たちまち資産数億という小金持ちが発生する。
30年前ほど株取引や法人接待は盛んではないし、土地取引も全国的というわけではないが、地域的に土地バブルが発生していることは地面師事件はじめ高額詐欺事件が毎日のニュースを賑わせていることからも嗅ぎ取れる。

オリンピックに万博も加わり都心部での再開発ラッシュは結果として多くの土地長者を産む。
問題は宴の後だ。30年前のバブル崩壊以上に今回は「山高ければ谷深し」ではないかと思う。
30年前と比べて日本の消費人口は減少と高齢化が顕著なのだ。
唯一当時より伸びている消費支出分野は医療・福祉だけといっていい。
消費税が引き上げられればその反動も覚悟せねばならないし、ホテルやマンションも今後は供給過多になる心配もある。

新しい時代の元年は、30年前の元年を合わせて考えると示唆に富んでいる。

 

「恍惚の人」から半世紀

2019年2月12日

有吉佐和子さんの小説「恍惚の人」が発表され、200万部近い驚異的ベストセラーになったのは1972年(昭和47年)、かれこれ50年近く前のことだ。
当時は認知症などという言葉もなく、「恍惚の人」というネーミングが衝撃的だった。
あの頃は日本自体が若い国だった。1972年当時の平均年齢は男性が70.50歳、女性が、 75.94歳だから今と比べておよそ12歳くらい若かった。
また100歳を超える人はわずかに405人である。現在の67000人と比べてみればその人数の増加は驚くばかりだ。
長寿の人が少なかったから認知症の症状が顕在化する前に亡くなる方が多かったと言えるだろう。

最近その「恍惚の人」を読み返してみた。
弁護士事務所に勤務する主人公である嫁が、自分の息子さえ認識できなくなった舅の徘徊や失禁などにふりまわされるという話で、ついに主人公は仕事を辞めざるを得なくなる。
いかにも大変そうだし、お嫁さんは気の毒なのだが、ただ今の日本ではこのような話はあちこちで見聞する。
もし「恍惚の人」が今日出版されていたらそれほどの注目は集めなかったかもしれない。

今日では半世紀前にはほとんど存在しなかった問題がたくさん出ている。
認知症の人を世話してくれる施設が見当たらず、やむなく家族が世話をするが、認知症の人は高齢でも身体的には元気で動き回るが、世話をする家族のほうも高齢化して徘徊などに対応できない。
認知症でも生活の必要もあって車の運転を続け、逆走やペダルの踏み間違えなどで大きな事故を引き起こし加害者になってしまう。
こうした現状とどう向き合えばよいのか。
幸いロボットや人工知能の開発など半世紀前にはSF的な話にすぎなかった技術開発が進んでいる。
長谷工シニアホールディングスが展開する老人ホームでは、入居者の話し相手や身体を動かす体操のお供をロボットが当たり前のように担っている。
お年よりの評判も上々で、近い将来人工知能の発達でさらに複雑な会話もロボットが相手になるだろうし、徘徊をロボットが追尾することも可能になるかもしれない。
また自動運転車にも使われているセンサー技術により、徘徊やベッドからの転落事故の危険を察知してナースコールや、家庭介護の場合は別の部屋で寝ている家族のスマホへと異常を伝える技術開発も富士通などで実用化が進んでいる。
こうした技術開発が世話する側を助けることに一定の役割を果たすことは間違いないだろう。
だが施設内などではなく一般の家庭、特に老老介護の現場では新技術の恩恵を受けることはとても期待できまい。

厚労省は2026年に認知症は高齢者の5人に1人およそ730万人に達すると予測する。
歳をとれば多少の差はあっても誰でも認知症になるという前提で、家族や地域が連携して日頃からみんなで認知症の予防に努め、安全の確認やお互いを見守る社会を作る以外に方法はない。

半世紀前、介護保険やケアマネジャーと言った仕組みや制度もこの国にはなかった。
「恍惚の人」の主人公は相談するところもなかなか見つけられないでいた。
高齢化社会は困ったことではない。不老不死は古代から王様の夢のまた夢だった。
それが今やだれでも100歳まで生きることができる喜ばしい世の中になったのだ。

カラオケを世界に広めた第一興商は、歌を歌い、また映像と音楽に合わせて体を動かすことで認知症予防に役立つと、「エルダーシステム」と名付けた機器を全国の老健施設や公民館に設置している。
そこでマイクを握り体を動かすお年寄りは一様に明るく楽しそうだ。
このみんなで楽しむという連帯こそ、これからの社会作りに大切な視点ではないだろうか。

 

この甘さは何だ! 

2019年2月 4日

検査があるから飲まないのではなく、他人の命を預かる仕事だから飲まない、とどうしてならないのか。

飛行機のパイロットたちの酒の話だ。

検査に替え玉を使うなんて発想の人間を雇ってきた企業モラルの低さは何なのだ!!

それをどこか容認する甘い職場なのだろう。

悲惨な航空機事故を忘れたのか?

パイロットになったら酒を断つ、くらいのモラルは社命ではなく個人の問題だろう。

そんな殺生なだって?

例えば視力が落ちたらパイロットは仕事にならないから、少しでも視力に悪影響を及ぼしそうなことは避けないのか?

イチロー選手がプロとしての体力や視力を維持するために日頃からどんなにストイックな生活をしてきたかなど皆知っていることだ。それがプロというものだ。

一社だけでなく航空業界全体で不届き者続出の事態。

酒止められないならパイロット辞めますか、と迫ることができない甘さが、必ずいつか大事故を引き起こす。

 

下り坂

2019年1月28日

公的年金額が4月分から0・1%引き上げられることが決まった。4年ぶりのプラス改定だが、物価の伸びに比べると上昇幅は小さく、実質的な年金の価値は目減りする。
10月からの消費税率引き上げが本当に行われるか、私はまだ疑わしいと思っているが、仮に実施された場合導入から30年でついに税率が二ケタとなる。
平成元年40代で消費の中心だった団塊の世代は、まもなく後期高齢者、つまり年金で食べている世帯が日本全体の10世帯中3世帯ほどにまで広がっている。そうした人たちが果たして税率引き上げ後も消費を今までと同じように続けられるとは思えない。
軽減税率やポイント制、住宅や自動車の減税などもう関係ない。
入ってくる年金収入だけでランニングコストを賄おうという人たちが、多いという現実を考えれば消費の落ち込みは想像以上だと言いたいのだ。
前回の引き上げで落ち込んだ景気は3年回復しなかった。
そうするとそこにオリンピック後の景気後退が重なることが予想される。
いよいよ日本経済は下り坂にさしかかった。

成功体験がかえって災いを招く

2019年1月21日

経済雑誌の新春特集号で元ソニーの久夛良木 健さんのインタビュ―記事に目が留まりました。

――日本の電機業界はIT化が遅れました。アナログ技術の成功体験が足かせになりましたか?

間違いなく足かせになったと思う。

ただ根本は日本人が受けた教育の影響。

集団で均質な取り組みを共有する教育によって、既存の商品群を改善することは、とてもうまかった。

一方、ユニークな提案は「へそまがり」といわれて排除される。結果、HowはわかるがWhatはわからない。

これは垂直分業で、アナログの製品を大量生産した昭和の家電産業ではうまく機能したが、IT化が進んだ平成以降は競争力を失った。

日本の自動車業界にも同じことがいえる。EV化の本質は、将来的に車が個人所有ではなくなる、というモビリティの大変革。

だが日本勢は、車を単なる商品として見ていたから、燃料車がEVに代わっても「だから何?」と思った。

それで乗り遅れたんだね。

その点、米テスラもすでに時代遅れで、ウーバーやリフトなどのほうが先を見ている。

今後も、いろいろな変革があると思うけど、多くの日本の企業の意思決定層はそれを想像できていない。


              久夛良木 健(週刊 東洋経済 2019新春合併特大号)より

 

積み重ねの発想の大切さは否定はしないけれど、まったく次元の違うアイデアをひらめくことは難しい。

同じ業界の発想ではなく、異業種のアイデアも取り込んだ斬新な発想が今こそ必要なのだと痛感します。

 

 


 

喫煙専用喫茶店という生き方

2019年1月15日


最近東京と名古屋で偶然入った2軒の喫茶店が「喫煙専用」という店だった。

全てのテーブルに灰皿があり、ここにわざわざ来る人はタバコを吸うのが目的でやってくる。

なまじ分煙にしないのがミソで、客は誰も文句を言わない。

全面喫煙にすることで失う客もいるかもしれない。

しかしそれを言えば、大手チェーンやコンビニの100円珈琲で失った客はもっと多いかもしれない。

全面喫煙ならば愛煙家は当然リピーターになるから固定客を掴めるはずだ。

大規模店ならともかく小規模店の生きる道として間違っていないと思う。

かつて大手百貨店が、試着したお客の「買わない一言」に左右の足のサイズが違うので靴を買えないというものが意外に多いことに気がつき、左右違うサイズの靴を販売したところ、当然そういう客は遠くからも来るようになり、しかも購入の度に何度も来店してくれる結果になったという。

同様の例は左右の胸のサイズが異なるブラジャーの開発にもつながった。

ものが売れない時代というが、 欲しいものがないと嘆いている人も意外に多いのではないだろうか。

 

 

新春に寄せて

2019年1月 7日

平成最後のお正月を皆さまどのようにお過ごしになったでしょうか。

亥年の今年は、昨年とは一転、大激変の年になりそうです。

国内の統一地方選挙と参議院選挙、そして憲法改正の国民投票があればどうなるか?

消費税は本当に引き上げができるのか、そして実施の場合の経済への影響は?

中間選挙で敗れたトランプ大統領は、再選目ざしてどんな荒療治に出るか?

ロシア疑惑など国内の政権基盤を揺るがす難問を克服できるか?

中国との経済戦争は?北朝鮮との核交渉は?

イギリスのEU離脱、フランスの国内不安、ドイツのメルケル後など、EUの混乱は収束するか?

思えば平成元年はベルリンの壁崩壊、天安門事件、消費税導入、参議院選挙おたかさんブームで社会党圧勝・・・・。

何となく30年前と今年は内外情勢が似ています。

バブルがはじけ、日本経済のメッキがはがれた30年前とその後の混乱を考えるとき、まさに時代の大きなうねりを感じます。

いままた新時代元年はいきなり大きく動きそうです。

さあよくつかまって、イノシシの激しい動きに振り回されないように、

本年もよろしくお願いします。

 

2019年のキーワード

2018年12月25日

恒例、2019年キーワードは「さよなら平成 さんじゅうねん ひとむかし」です。

気が付けば平成も終わる。30年いろいろなことがあった。
総じて言えることは災害が多発、日本経済はバブル後のデフレの傷もいまだ完治とはいかず、あまり華々しいことはなかった30年だった。
しかしスポーツや芸術・文化で世界的な活躍をする新星が現れたり、たくさんのノーベル賞受賞者を輩出するといった面で新しい日本像も描かれた。

新しい時代が始まる2019年のキーワードは、ずばり「さんじゅうねん ひとむかし」である。


★「さん」は「参」議院選挙の結果は?

2019年は参議院総選挙の年。自民党総裁任期はオリンピック後まで延びた安倍総理だが、過去国政選挙5連勝とはいうもののこの選挙はかなり苦戦が予想されている。憲法改正の国民投票を参議院選挙の前にするか後にするか。
そもそも参議院で改憲勢力3分の2を維持している間に憲法改正を発議できるか?
また万が一敗北した場合、政権維持ができるかがオリンピックも睨んで最大の注目点だ。

★「じゅう」は「10」%消費税でどうなる?

前回8%から10%への引き上げ延期は景気が悪いという理由だったが、今のところ今回も延期する積極的な理由はなく、引き上げに踏みきる公算が強い。
平成元年に消費税を導入して30年でついに二ケタとなると、やはり買い控えなど景気減退の理由になりかねない。
特にオリンピック後に景気後退が予想されているだけに、消費税の影響も考えるとさらに経済の逆風が予想される。
経済が後退しだすと安倍政権ももろいかもしれない。

★「ねん」は「年」金暮らしの動向は?

高齢者世帯で主たる収入が年金という家庭が増えている。
資産は持っていても日々の生活のためには貯金を切り崩さないから、年収200万円前後の生活レベルの家庭が日本社会の中で3割以上になっている。
消費税が引き上げられても収入が増えないこの人たちが、一斉に生活を切り詰めると経済への影響は大きい。
高齢社会が消費の減退に拍車をかける。

★「ひと」は「人」手不足をどうする?

人口減少、特に若年労働力の減少は深刻化する。これには特効薬はない。
短期の研修名目ではなく、参政権も含めた市民権を与えて日本に永住してもらうような発想で外国人を受け入れる必要がある。
新規学卒者採用試験で性別どころか国籍も問わないという採用をして、日本人と同じようにほぼ終身雇用も可能とする企業がこれから増えるだろう。

★「む」は「無」党派層のゆくへ?

これまでも国政選挙で話題になってきた無党派層。
初めての憲法改正国民投票で彼らはどう動くか、読めない。
イギリスのEU離脱やトランプ政権誕生のような思わぬ結果を生む可能性がある。
一般に賛成より反対の人の方が積極的に投票すると思われる。議会で3分の2を確保しているからと言って憲法改正に賛成する人が簡単に過半数を超えるとは考えにくい。もし反対派が上回ると、その瞬間安倍政権は根幹から揺らぐ。

★「か」は「改」元で雰囲気は変わるか?

これまでの改元は天皇家の不幸が前提にあった。初めて国民全体の祝福による慶事としての改元が行われる。
これはこれまでとは全く違う祝賀ムードを醸成し景気刺激効果も大きいとみる。
この機に乗じられるか、ビジネスのカギだ。

★「し」は「仕」上げの一年

いよいよオリンピックまで1年。前景気が高まる。
競技場や各種施設、ホテルなど大会に向けての工事や準備は突貫工事となる。
大きな事故なく首尾よく準備を仕上げられるか、テロ防止など警備体制はどうかなどあらゆるニュースがこの一点に集中する。
カウントダウン効果が何をもたらすか目が離せない。

2019年は「さんじゅうねん ひとむかし」である。

ヒット商品不在

2018年12月17日

年末恒例のヒット商品番付が発表されている。

しかし売れたという意味でのヒット商品は最近は数えるほど、とても番付を作るほど並ばない。

今年の場合も大谷翔平や大坂なおみやAIなどが並んでも、ピンとこないという人も多いのではないか。

近年人気を集め同様の店舗展開が増えているのが「ゆったり系喫茶店」である。

セルフサービスを基本としたファストフード的コーヒーショップとは一線を画し、フルサービスで新聞や週刊誌もたくさん閲覧できるような店が全国的に増えている。

価格はやや高めだが、リピーターが多く毎朝のようにやってくる年配者も多いようだ。ゆっくりくつろぐから顧客の回転効率は良いとは言えないが、それでも店のファンを作ることが商売繁盛の秘訣なのだろう。

珈琲を飲むだけならコンビニでは100円で飲める。最近は駐車場も広く、テイクアウトした珈琲を飲みながら駐車場に停めたクルマでくつろぐ人も少なくない。
価格の安さとは違うくつろぎの時間を提案してこそ「ゆったり系」の魅力もアピールできる。

同様に根強い人気があるのがスーパー銭湯と呼ばれる温浴施設である。

温泉掘削技術の進歩により以前より手軽に温泉を掘り当てることができるようになったこと、またお湯が出なくても源泉からタンクローリーで運んでくる業者も現れて、温浴施設をあちこちで見かけるようになった。昔の公衆浴場は内風呂を持たない人が主要顧客だったが、いまは家に風呂がないから温浴施設に行こうという人はまずいないだろう。くつろぎの場として温浴施設を利用するのだ。

茨城県那珂市にある「なか健康センター」では各種温泉のほか、月替わりで演目を変える芝居を上演している。

「東日本大震災で建物が半壊したのをきっかけに、芝居小屋を作りました。敬老会などの団体入館者が増えました。館内滞在時間も5時間以上、中には毎日入場される方もいます」と宮野由美子社長は話す。

滞在時間が長くなれば飲食費なども増え客単価は向上する。入浴それ自体よりも「ひまつぶし産業」としての将来性がそこにある。

とくに地方都市では車で温浴施設に乗り付け、お風呂の後に宴会場で忘年会や新年会を開催し、朝まで仮眠室で休んで翌朝仕事という人も多いという。
これなら酒酔い運転の心配もないし時間を気にせず飲めるわけだ。

宮野社長は、さらに昨年秋系列の福島県にある「いわき健康センター」にスポーツジムも開設した。

「昼間はシニア層、そして夜は勤め帰りのサラリーマンの会員が増えています。健康のためにスポーツジムで汗を流し、その後に温泉を楽しむというライフスタイルの提案で市場を拡大したい」と意気込む。

もう一つ時間を提供する「意外なビジネス」を紹介する。

近年コインパーキングなどを利用して、登録者に短時間クルマを貸し出す「カーシェアリング」というビジネスが伸びてきた。

クルマを所有することから借りて利用するという時代の変化に対応したものと考えられている。それでは短時間クルマを借りてどこへ行くのか。

実は利用者アンケートに回答した2割近くの人が借りたクルマの中で過ごしているという意外な結果が出た。

クルマを移動の手段として借りたのではなく、個室として借りて、重要な電話をする場所として利用したり、書類作成や仮眠の場所として利用しているという。

モノではなく時間を売る発想が求められている。

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